インテリアが好きで、インテリア雑誌をよく読んだりするのですが、北欧とミッドセンチュリーの違いがよくわかりません。
どういう違いがあるか教えて下さい。
また、例えばこの写真はどちら寄りに分類されるのでしょう?
この建物は、モダニズムの流れを汲んだ日本の現代建築(コンテンポラリー)でしょう。家具などは、ミッドセンチュリーのデザインや北欧モダンを中心としたミックススタイルで、どちらかとは言えないのではないかと思います。
ミッドセンチュリーと北欧についてご説明しますね。
「midcentury 」「midcentury interior」と「Nordic interior」「scandinavian interior」で、googleなどで画像検索してみてください。両者はかなり違った印象に見えるかと思います。
「ミッドセンチュリー」は、20世紀中ごろ、1940年~60年あたりの時代を意味します。インテリアの用語としては、そのころに主にアメリカで生産された家具やそのデザイン、それらの家具を使用したインテリアのスタイルを指します。第2次世界大戦後、工業化と大量消費が進む世界で、アメリカは家具デザインの中心でした。この時代のアメリカのデザイナーとしては、イームズ夫妻、ジョージ・ネルソン、ベルトイア、イサム・ノグチなどがいます。
「北欧」はその名の通り北ヨーロッパ、スカンジナビア半島あたりを中心にしたノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマークなどの国を指します。それらの国で作られた家具やファブリックを使用したインテリアのスタイルが、日本では広くざっくりと「北欧」と呼ばれています。北欧の長い冬は日照時間が短くて家の中で過ごす時間が長いため、伝統的に明るい色合いや澄んだ色合いが好まれます。
ミッドセンチュリーと同時代に北欧でデザイン・生産された「北欧モダン」は、特に日本人の感性や日本の住宅に合うようで大変人気があります。「北欧モダン」のデザイナーとしては、ヤコブセン、アアルト、ウェグナー、フィンユールなど、他にも多数。
こちらも、「Nordic modern interior」で検索してみてください。日本人が「北欧」と聞いてイメージするインテリアにかなり近いのではないかと思います。
「北欧モダン」と「ミッドセンチュリー」は、日本では人気が高いので雑誌などにもよく掲載されています。区別がつきにくくなっている理由としては、時代が重なる部分があるため生産技術に共通点があること、雑誌などで同時に紹介されることがあること(特に椅子の特集など)。また、インターネットの家具のショップでは検索ワードなどがまじりあっていることなども一因かもしれません。
写真の1つ1つのアイテムを見ていきます。木枠と黒いレザーの子供用のミニ・イージーチェアは、おそらく「カリモク」の物なのではないかと思いますが、ミッドセンチュリーの流れを汲んで日本で作られたものの復刻版です(日本のミッドセンチュリー)。ダイニングチェアはヤコブセンの「セブンチェア」(北欧モダン)。水色のソファーはフィンユールのデザインした「ポエト」にバックスタイルが似ていますが、ちょっと違うような(北欧モダン?)。ラグはデザインがデンマークっぽいかな?と思います(北欧)。階段下の白いプラスチックのスツールは柳宗理(日本、ミッドセンチュリーの終わりごろ)。ダイニングテーブルはパインの集成材のように見えます(北欧風?)。その他の、華奢なアイアンのハンガーラックやテレビ台、そのわきのベンチなどは、現代の日本の物ではないかと推測します。植物はオリーブとウンベラータ。どちらも日照時間の長い地域が原産ですので、北欧スタイル寄りともいえない理由はそこにもあると思います。
滝本 様
とても的確な回答で感銘致しました。イームズのプライウッドの開発がヤコブセンやその後のデザインに影響を与えていますし、
コンテンポラリーデザインは、ミッドセンチュリーや北欧のスカンジナビアンデザインのスタイルが混在してもまとまってしまうので、クライアントさんには難しいのでしょうね。私も同様の質問が多々ありますが、この回答を見習おうと思います。
白坂さま
お褒めにあずかりまして恐縮です。ありがとうございます。
様々なスタイルがまじりあうことで、その人らしい空間ができると思います。
知識やスタイルにとらわれることなく、それぞれの感性で素敵なインテリアを楽しんでほしいですね。
滝本様、
つたない文面にも関わらず、ご丁寧なご返答いただきましてありがとうございました。やっと長年の疑問が解けました。歴史的背景や、土地の気候、デザイナー同士の影響があってこそ、生み出されていくスタイルなのですね。雑誌などではなかなかわからない事ですので本当に勉強になります。また、おっしゃる通り、こういった知識を元に私も好きなものを選んで自身の部屋のインテリアを楽しんでいきたいと思います。
白坂様、コメントありがとうございます。やはり私と同じように疑問に思う方がいらっしゃるのですね。
そして、その方々はきっと私と同じくインテリアが好きなのでしょう。プロの方がサポートしてくださると、私もそうであったようにどんどんインテリア、家作りが好きになっていきます。
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滝本 香苗
白坂 悟デザイン事務所
滝本 香苗
香の花Författare